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宇宙関連事業

CHALLENGE

キヤノン電子の挑戦
~挑戦の始まりからこれまでの歩み~

挑戦の始まり

キヤノン電子の挑戦の始まり

1999年、キヤノン電子の社長に就任した酒巻は宇宙事業への思いを温めていました。キヤノンの研究開発部門でさまざまな新規事業に携わってきた経験から、キヤノン電子の有する精密機器技術や光学技術を結集すれば人工衛星をつくることは可能だと感じていたためです。

2002年、海外の友人から勧められた本(※)に「これからの時代は地上500~600kmを制したものが世界を制する」と書かれていたのを目にした酒巻は、「チャンスが来た」と直感しました。(※エヴェレット・カール・ドールマン著『アストロポリティーク 宇宙時代の古典地政学』)

夢の実現へと動き出した酒巻は、大胆な経営再建により必要な資金を蓄積するとともに、優秀な人材の確保に奔走しました。そして2009年、宇宙事業への参入宣言を機に、キヤノン電子の挑戦が満を持して始まりました。

これまでの歩み

これまでの歩み

2017.06
超小型人工衛星の初号基「CE-SAT-I」をインドから打上げ、高度500㎞の地球周回軌道へ。民間企業による自己資金での人工衛星打上げは日本初。
この「CE-SAT-I」は、地上の画像を撮影するなど、現在も実証実験を継続中。
2017.08
キヤノン電子、IHIエアロスペース、清水建設、日本政策投資銀行の4社で「新世代小型ロケット開発事業会社」(現・スペースワン株式会社)を設立。
2018.02
JAXA主導の全長10m弱の小型ロケット「SS-520」5号基の打上げに成功。キヤノン電子はロケットの飛行動作を制御するコンピュータなどを提供。
2020.10
超小型人工衛星の3号基「CE-SAT-IIB」をニュージーランドから打上げ、高度500㎞の地球周回軌道へ投入することに成功。新規の自社開発品である超高感度カメラを含む3台のカメラと多数の内製コンポーネントを搭載。Ⅰシリーズの望遠鏡と共に、望遠鏡のシリーズ化に向けて、2年間の実証実験を開始し、現在も継続中。

BUSINESS

衛星事業の三本柱

超小型人工衛星の販売

①超小型人工衛星の販売

キヤノン電子は、これまでの自社での超小型人工衛星の開発・実証経験を生かし、人工衛星の販売を行っています。小型・中型望遠鏡の搭載機も実証実験中で、ニーズに合わせた性能を、セミカスタム化により提案可能です。

超小型衛星CE-SAT-IE

  • 打上げ日 2024年2月17日
  • 外寸:500 x 500 x 800mm、質量70kg
  • 軌道:太陽同期軌道(高度670km)
  • CE-SAT-Iの後継機であり望遠と広角の2台のカメラを搭載
  • 【主光学系】
    • 口径400mm望遠鏡 + キヤノン製ミラーレスカメラ EOS R5
    • 地上分解能:0.8m
    • 撮影範囲: 6.5 km x 4.3 km
  • 【副光学系】
    • コンパクトデジタルカメラ PowerShot S110
    • 撮影範囲: 192x144(Tele)km、962x722(Wide)km
  • CE-SAT-IEのミッション

    1. 主光学系による地上分解能0.8mの地表撮影(静止画・動画)および天体撮影
      • リモートセンシング事業に向けた実証を行う
      • 地理空間情報・防災活動への貢献
      • 社会の安心・安全に寄与する衛星画像の取得
    2. 衛星バス技術の実証
      • 新規搭載のミッション用計算機、通信機、および自社開発の光学系、各種センサー、アクチュエーターの宇宙実証
      • JAXA開発機器(Mt.FUJI)を用いたレーザー測量による衛星軌道決定の演習
        (レーザー測量によるデータ取得・評価はJAXA、軌道決定等の評価は共同で実施)

超小型衛星CE-SAT-IIB

  • 打上げ日 2020年10月29日(現在も運用中)
  • 外寸:292×392×673mm、質量35.5kg
  • 軌道:太陽同期軌道(高度500km)
  • 超小型ながら3種類のカメラを搭載
    • 口径200mm望遠鏡+超高感度カメラ
    • 口径87mm望遠鏡+キヤノン製ミラーレスカメラ:EOSM100
    • コンパクトデジタルカメラ:PowerShot G9 X Mark II
  • 地上分解能と撮影範囲
    • 口径200mm望遠鏡:5.1m、 3.5km×2.3km
    • 口径87mm望遠鏡:2.3m、 5.6km×3.7km
  • 超高感度カメラはキヤノン電子の自社開発品です。キヤノン製超高感度CMOSセンサーを搭載した超高感度カメラを使用することで、地上解像度(直視下)が数百m程度(光学衛星による夜間光の観測で一般的に利用されてきた衛星画像相当)から5.1mへと大幅に向上した夜間画像を提供することができます。市街地の街頭など明るく光を放つ発光体の観測だけでなく月あかり程度のわずかな光源によって照らされた地上の観測も可能です。
  • コンポーネント(内製品):反射望遠鏡、超高感度カメラ、地磁気センサー、太陽センサー、スタートラッカー、慣性基準装置、磁気トルカ、リアクションホイール等

超小型衛星CE-SAT-I

  • 打上げ日 2017年6月23日(現在も運用中)
  • 「2017年度グッドデザイン賞」受賞
  • キヤノン製デジタル一眼レフカメラEOS 5D Mark IIIと直径約400mmの反射レンズを組み合わせた光学的画像処理システムを搭載。地上500kmの軌道上から、4.8km x 3.2kmのフレームサイズで地上解像度(直下視(GSD))0.84mという細かな画像を撮影でき、1台1台の自動車の認識も可能。
  • キヤノン製コンパクトデジタルカメラPowerShotにより、760km x 571kmという広域画像の撮影が可能。
  • 撮影した画像データは地上に送信され、防災や農業など多彩な分野への応用が可能。
  • カラー動画・夜間撮影も可能
  • 外寸:500×500×850mm、質量65kg

コンポーネントの販売

② コンポーネントの販売

光学系

キヤノングループの光学技術を活かした
人工衛星搭載用望遠鏡ラインナップ

衛星搭載用望遠鏡

軌道上から地上等を高解像度で撮影するための超望遠光学システム(最大口径400mm)

  • カセグレン系に補正レンズを加えた独自の高性能光学系
  • フォーカシングアクチュエーター採用
  • キヤノン製超高感度CMOSセンサー搭載
アクチュエーター

モーターや 磁性部品の技術を応用した衛星駆動装置

磁気トルカ

地球磁場との相互作用にて、人工衛星の姿勢を制御する電磁石アクチュエーター

リアクションホイール

ホイールを回転させた際の反作用にて、人工衛星の姿勢を制御するアクチュエーター

センサー

衛星の姿勢を測定する精密機械

太陽センサー

太陽光を検出することで、人工衛星上での太陽の位置を決定するセンサー

スタートラッカー

星の方向から衛星の姿勢を高精度に決定するためのセンサー

  • 独自設計の光学系に耐放射線光学ガラスを適用
  • 独自アルゴリズムによるロバストな姿勢検出
  • 初回姿勢決定所要時間は1秒

地磁気センサー

コイルの電流変化を検知することで、地球の磁場を計測するセンサー

慣性基準装置

角度および角速度を計測するセンサー。複数のジャイロスコープで構成

DATA
撮影データの販売

③ DATA
撮影データの販売

キヤノン電子の超小型人工衛星CE-SATシリーズは、地球表面や宇宙空間の写真を高解像度で撮影します。
CE-SAT画像データについては販売店契約を締結している一般財団法人リモート・センシング技術センターを通じて提供しております。

一般財団法人リモート・センシング技術センター https://www.restec.or.jp/

画像活用例

1.駐車台数モニタリング

定期的な画像取得により、駐車場の使用率を割り出します。 季節毎、時刻毎での来客数の変化を捉え、ロジスティクスの 改善、リソース配分の最適化に役立ちます。

2.交通渋滞モニタリング

交通密度、渋滞長をモニタリングすることで、より効率の良い 移動ルートの策定が可能となります。 CE-SAT-Iで撮影した画像からはトレーラー、乗用車といった 大きさの異なった車種の判別が可能であり、交通の最適化、 維持管理の効率化に寄与します。

3.漁業での活用

CE-SAT-Iで得られる高解像画像は、海でも効果を発揮します。 沿岸に停泊している小型船舶の監視や沖合に設置した 養殖用いけすの状況確認等に役立ちます。

4.石油貯蔵量予測

世界各国に設置されている浮き屋根式石油タンクの画像を 取得することで、その地域での石油需要の予測が可能となります。 高い空間分解能をもつ画像からは、個々のタンクにおいて 精度の高い貯蔵量の予測を行うことができます。

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