社内で行われる会議については、工場を含む全ての事業所で「立ち会議」を導入しています。会議室だけではなく、各フロアにも立ち会議をするためのテーブルがあり、打ち合わせが必要なときに予約や移動をすることなく、すぐに利用することができるようになっています。アメリカのある大学のレポートによると、立ち会議は座って行う通常の会議より約30%早く結論が導き出され、より密なコミュニケーションがとれるということが証明されています。部署ごとの間仕切りがない開放的なフロア内で気軽に会議を提案できるので、上司への報告や職場内での情報共有をスピーディに行うことができ、コミュニケーションが取りやすい環境づくりと業務の効率化が図れています。
社内には個人用のゴミ箱がひとつもありません。社員は自分で出したゴミは持ち帰るなど、できるだけ無駄なものを出さないようにしています。これは、エコロジー的な観点だけではなく、社員全員で経費を削減することで利益を上げてきた、キヤノン電子独自の工夫です。その他にも、トイレに手を拭くペーパーや乾燥機を置かないことで、ハンカチを持参する習慣を身につける、自動販売機で購入した飲み物をメーカーごとに設置したゴミ箱に捨てることで、回収業者の負担を減らし、パートナーへの配慮を考えるなど、経費削減の工夫から意識変革を行なっています。一人ひとりが考えてクリーンにしているからこそ、オフィスはどこの企業よりもきれいだと胸を張って言えるのです。
各事業所には、食堂を用意しています。東京本社の社員食堂では名店の料理人が腕をふるい、和食、洋食、中華などの料理がフリードリンク、ビュッフェサラダ付きでワンコイン(500円)で味わえます。また、秩父・美里・赤城事業所の社員食堂はカフェテリア方式で、メインディッシュ、サブメニュー、デザート、サラダなど豊富なメニューから自由に選択できます。事業所によっては、毎朝手打ちしたご当地ソバや、朝採りレタスなどの新鮮野菜や旬のフルーツ、全国のご当地ラーメンの提供などが行われており、時にはマグロの解体ショーなどサプライズイベントもあります。そして、時間外の仕事を行う社員を対象に、夕食を無料で提供。とくに単身者には大変好評です。
挨拶をきちんとする、整理整頓の徹底、不良品をなくすなど、自分たちでテーマを決めて評価をし、NO.1を決める「ピカ一(イチ)運動」を実施中。期間も基準も各自で設定し、10点満点で自己評価するこの仕組みは、社員の主体性を促し、目標に向かって努力する自己成長の機会となっています。また、「誰にでもキラリと光る夢がある。皆でつかもう世界の一番」など、社内の随所に貼られている標語ポスターは、社員に募集して上がってきたものです。キヤノン電子が掲げる「3Sの精神(素早い判断・素早い行動・素早い反省)」の元、自分の課題や強みを自覚し、社員自身によって自発的に課題を解決するという会社の風土は、こうした取り組みによって育てられています。
社内でのコミュニケーションが円滑に行えるように、東京本社の社員には、職種に関係なく、一人ひとりに携帯電話が会社負担で支給されています。これによって、社外に出かけたり自席から離れたりしているときでもダイレクトに連絡がとれるので、不在時の取り次ぎ時間が大幅に短縮されました。ノートパソコンも支給されており、イントラネット上の掲示板で会社の情報を共有したり、旅費精算などの各種申請をスピーディに処理したり、社員間でメールのやりとりが気軽にできるようになっています。また、各事業所間は、毎日一定の時刻にトラックが定期的に走行。各事業所にある発着場所に行き先を貼って荷物を置くだけで、運搬したい場所へ届けることができます。
年4回発行(季刊誌)する社内報やポケットカレンダーは、毎回社員一人ひとりに手渡ししています。定期的に顔を見て行うこのやりとりは、会社の一体感にも寄与しています。掲載内容は、会社の方針や新製品の紹介、社外関係者からのメッセージの他、新しい制度の説明や、保養所、健康増進に関する情報、おすすめの図書、あるテーマについて社員が自由に投稿するコーナー、社員を次から次へと紹介していく友達紹介ページ、社員の家族の慶弔情報コーナーなど、働く上で役立つ情報が満載です。長期休みをとれるように、会社が独自に決めた休日は年間3分の1。ポケットカレンダーにはその休みも記載しているので、携帯していると便利です。
キヤノン電子では、新入社員研修にはとくに力を入れており、3年間で一人前になってもらうための「3年育成プログラム」が行われます。まず、入社後すぐに、当社の赤城研修所で3泊4日~4泊5日の集合研修を行ないます。次に、各工場での実体験を通じて、生産の実態や職場規律を理解する「工場実習」や開発・設計の基礎を学ぶ「技術基礎研修」を、約4ヶ月間実施。各職場に配属後は、上司がOJTを通じて3年間の育成計画を立て、責任持って育てます。入社2年目には、1泊2日の「2年次社員研修」があり、事例を通じて討論をし、自発性を養います。熱意があり結果を出した生産現場の社員は、ベトナムにある100%子会社で「海外トレーニー制度」を受けることもできます。
自宅からの通勤が困難な社員のために、すべての事業所周辺に独身寮(個室、風呂、キッチン、トイレ、エアコン完備)を用意しています。 ベッド、テーブル、椅子、エアコンは備え付けで、クローゼットもあります。1ヵ月の家賃は4,300円~30,000円(30,000円の場合は水道光熱費を含む)で、院卒4年間、大卒6年間、高専卒8年間、高卒10年間、住むことができます。東京本社(港区芝公園)勤務の場合、会社から40分圏内の目黒・高輪・田園調布に寮があり、どこへ行くにもアクセス便利。防犯設備を完備し、セキュリティも万全です。会社帰りや休日もアクティブに過ごせる環境を提供することで、社員もリフレッシュして仕事に臨むことができます。
就業意欲のある女性をサポートする仕組みとしては、産前は出産日前の6週間、産後については8週間の休暇があります。また、保育施設の空き状況により、最大でお子さんが3歳になる前日まで、育児休職がとれるようになっています。復職後は、始業時間を2時間遅くしたり、終業時間を2時間早くする等、勤務時間を短縮した「短時間勤務制度」を導入。他にも、有給休暇とは別に、キヤノン電子独自の結婚休暇、配偶者出産休暇、忌引休暇などの特別休暇制度や介護休職制度があり、社員の様々なライフイベントに柔軟にサポートできる制度を整えています。
成績優秀者、ときには社員全員に、ホタテなどの海産物や赤城の牛肉など新鮮で美味しい食材を、手紙と共に送ることがあります。これは、日頃社員を支えている家族への感謝の気持ちと、頑張った社員への会社からのご褒美です。また保養所は、群馬県昭和村に赤城研修所(赤城事業所に隣接)があります。この研修所は社内の研修だけではなく、社員および家族の保養目的での宿泊も受け付けています。かけ流し温泉やレストランを併設した、一流ホテル並みのホスピタリティを安価で利用できる施設です。また、熱海周辺にも宿泊施設があります。キヤノン健康保険組合では、箱根、熱海、湯布院に保養施設があり、キヤノングループの社員と共に利用することができます。